えほんのかんさつ日記

わが子と読んだ絵本の記録

かぞえないかずあそび絵本『ウラパン・オコサ』

谷川晃一 作/童心社/初版1999年


あまたあるかず遊び絵本の中で、異彩を放つ絵本『ウラパン・オコサ』。

 

何が変わっているかと言えば、出てくるかずは1と2だけ。

 

かずあそび絵本と言えば「りんごが1つ、バナナが2つ…」など

描かれたものの数を順番に数えていくものが定番ですが、

小さな子どもにとって1から10まで覚えるのってけっこう大変。

 

読みながら「ほら、7の次は?」とか答えさせようとすると

「わかんない、もういい」って言われたりして。

「いやいや、知ってるでしょ。もう一回、1から言ってごらん」とか

無理やり参加させようとして嫌がられたことありませんか。

(はい、私です。)

 

この絵本は「1,2,3…」と数えません。

 

1はウラパン、2はオコサ。

 

いくつか描かれたものを順番に数え上げるのではなく、

2のかたまり(オコサ)と、2にならないものを1(ウラパン)にわけるだけ。

 

たとえばリンゴが5個あれば、

2と2と1で、「オコサ・オコサ・ウラパン」となるわけです。

 

なんだそんな変なルール…って思うかもしれませんが、

 

ところがどっこい。

 

「オコサ、オコサ、オコサ、ウラパン!」

と唱えているうちに、かずのまとまりや偶数奇数の概念、

かずが分解できることを理解する一助になっているのでは。

 

1と2しか出てこないのに、

実はとても高度なことを学べる絵本です。

 

子どもが気に入って、図書館でもう3回は借りました。

 

4歳のわが子は、数字に強い興味があるわけではないのですが、

ある日急に右手を左手の人差し指を合わせて

「1たす1は2、だね」と言い出しました。

 

それからは両手を使って、

「1と2で3だね」「6ってどうするの?1と5?」などと

一桁の計算のようなことをひとりでやっています。

 

『ウラパン・オコサ』がどれだけの影響があったかわかりませんが、

かずは数えるだけのものではない、

足したり引いたり、分けたりすることができるものだと

今では認識するようになりました。

 

ウラパン、オコサ。

絵や言葉のリズムからアフリカンな力強さも感じます。

 

いつものかず遊び絵本に飽きたら、

手に取ってみてはいかかでしょうか。

 

 

*********

 

 

【読み聞かせた年齢】3歳0か月

【選んだ理由】絵に惹かれて

【入手方法】図書館

【うちの子のハマり度】★★★★★

 

 

 

 

ねこがいるだけでこんなに笑える『ねこいる!』

今回ご紹介したい絵本は、

『第15回 MOE絵本屋さん大賞2022』で第5位を獲得した絵本、

『ねこいる!』(たなかひかる作、ポプラ社)です。

 

 

 

 

 

誤解を恐れずに言うと、この絵本にあらすじなんてありません。

とにかく猫がいるんです。

「ねこいる!」「ババーン!」それだけ!シュール!

それだけなのに何度も読みたくなるおもしろさ。

猫の登場の仕方やその意外性、猫の表情、勢い、すべてツボでした。

    

ある日本屋さんでその日買いたい絵本を物色している、猫好きのムスメに読んでみたところ、即決。

すぐさま自分で『ねこいる!』を抱えてレジへ向かい、帰宅するまでずっと持ち歩くほどのひとめぼれっぷりでした。

 

どんな人がこのセンスのよいシュールさを生み出しているんだろうと思ったら、

作者のたなかひかるさんは、「田中光」名義でお笑い芸人とギャグ漫画家をされている方だそうです(月刊MOE 2023年2月号)。納得。

『サラリーマン山崎シゲル』の漫画をご存じの方も多いのではないでしょうか。

天然を通り越したレベルのおとぼけサラリーマン山崎シゲルと、

やさしく見守るというかいつも巻き込まれる(被害にあうともいう)部長とのほっこりするやりとりがたまらない、ウェブで話題(※私調べ)のあの漫画です。

 

『ねこいる!』が、私が以前から大ツボにはまっていた『サラリーマン山崎シゲル』と同じ作者だったと購入と知ったのですが、

われわれ親子の笑いのツボがかぶっていたことに個人的に驚きました(笑)。

 

 

 

余談ですが、

私が学生の頃、キュートな絵と怖いくらい意味のわからないセリフ(褒めてます)のバランスの絶妙さを気に入って購入した100%ORENGEさんのシュール絵本『マイボー』シリーズを、今4歳のムスメが気に入り、たびたび読み聞かせをせがまれています。

 

サンドイッチマン富澤さんの声で「ちょっと何言ってるか分かりません」と言いたくなるギャグ(そこがいいんです)の数々に幼児から解説を求められ、説明が苦しいときもありますが、10年以上も経って、自分のお腹から出てきた人間が同じものを楽しんでいることにDNAの恐ろしさを感じるというか、感慨深いものがあります。

 

 

 

話がそれましたが、『ねこいる!』は

猫好き、シュール好き、サラリーマン山崎シゲル好きにおススメの絵本です。

もちろん犬好きにもおススメ。(理由はぜひ読んで確認してみてください。)

 

冒頭でお伝えしたように

ほぼ、「ねこいる!」「ババーン!」で展開するので、

いないいないばあが理解できる年齢のお子さんから楽しめるのではないでしょうか。

 

物語の読み聞かせに疲れたけど何か読んであげたい日にも、ぜひ。

 

どんなときでも笑っちゃうこと間違いなしです。

 

 

 

*********

 

 

【読み聞かせた年齢】4歳2か月

【選んだ理由】猫が好きだから

【入手方法】書店で購入

【うちの子のハマり度】★★★★★

大切な仲間、人を想う心。『くろくんとなぞのおばけ』

くれよんのくろくんシリーズ3作目。

大切な人を想う気持ちに涙が出るお話、『くれよんとなぞのおばけ』を紹介します。

なかや みわ さく・え/童心社/初版2009年

あらすじ

 

【あらすじ】

くれよんたちが朝起きると、きいろくんがいません。

 

「どこにいるのー?」「きいろくーん!」

 

くれよんたちは一日中、あちこち探し回りましたが、

きいろくんの姿は見つかりません。

 

疲れ切ったくれよんたちは、しかたなくまた明日探すことに。

 

ところが、翌朝起きると

今度はおうどいろくんとちゃいろくんがいなくなっていたのです。

くれよんたちはびっくり!

 

必死になって探しましたが、やっぱり見つかりません。

そして夜が明けるたびに、仲間がどんどんいなくなっていく…。

 

もしかして、おばけのしわざ?

「寝ている間に、おばけにつれていかれたのかもしれない!」

 

そして、とうとう、ひとりぼっちになってしまったくろくん。

 

くろくんはみんなを見つけることができるのでしょうか?

そして、おばけの正体とは…?

 

*********

 

こ、怖い…!

朝目が覚めるたびに仲間たちがいなくなっていく…

 

なんというホラーな展開。

 

ほんわかな絵とストーリーで紡がれる

なかやみわさんの作品でこんな物語があるなんて。

 

初めて読んだとき

私の方がドキドキしながらページをめくってたんじゃないかと思います。

 

このままホラーな話かと思いきや、意外な結末が待っています。

 

もちろん子供が読んで楽しい絵本ですが、

大人の心にもぐっとくるものがありました。

 

ひとり取り残されたくろくんが

意を決してほかのクレヨンたちを探す旅に出る姿は勇敢そのもの。

 

そして最後、くろくんの活躍によってあるひとつの絵が完成するのですが、

優しくてほんとうに美しい。

相手を思いやる心のあるくろくんだから描けた絵です。

 

3歳のわが子にはまだ難しいかと思いましたが、

おばけの正体やくれよんたちをさらった理由を「なんで?」「こういうこと?」

って質問してくれる姿から

ちゃんと分かろうとしているんだなと感じました。

 

ホラーな展開から、悲しくも美しい物語。

『くろくんとなぞのおばけ』は人を想う心を優しく描いています。

 

子供と読み続けたい絵本の一つになりました。

 

 

*********

 

 

【読み聞かせた年齢】3歳5か月

【選んだ理由】くろくんシリーズが好きだから

【入手方法】書店で購入

【うちの子のハマり度】★★★★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破天荒ばばばあちゃんの『いそがしいよる』

さとうわきこさんの『ばばばあちゃん』シリーズ。

破天荒なばばばあちゃんの行動に笑っちゃう!

 

「あれれ、言ってたこととやってることが変だよ~」って

ツッコみどころがわかってきた子におすすめ。

 

さとうわきこさん作、『いそがしいよる』をご紹介します。

 

 

さとうわきこ さく・え/福音館書店/初版年1987年
   

 

お星さまがきれいに輝く夜、ばばばあちゃんは夜空をずっと見ていたくて

ゆり椅子を庭に出してきます。

 

すると今度はお月様も姿を現してきて、なんてすばらしいながめ。

 

うちの中に入ってしまうのがもったいないと考えたばばばあちゃん

このまま外で寝てしまおうと、ベッドを庭に引きずり出してきます。

毛布と枕も忘れずに。

 

これで満足かと思いきや、

お茶の道具にテーブルに、夜中お腹がすいたときのためにレンジや冷蔵庫、

さらには本に目覚まし時計にたんすまで、どんどん持ち出してきます。

 

さあ、ばばばあちゃんは美しい夜空を堪能できるのでしょうか?

 

*********

 

いやあ、おもしろい!

 

ばばばあちゃんったら、ちょっと落ち着いて~(笑)

 

最初はおもしろさにピンときてなかったわが子でしたが、

 

読み聞かせながら

「夜寝るとき、そんなに必要かな?」「どんどん出してくるね~」

「お引越しみたいになってるよ」「星どうした?」

と私がツッコみをいれていくと、おもしろポイントが分かった様子でした。

 

それからは読むたびに私と同じように、

いや、もっとテンション高めにツッコむようになりました(笑)

 

 

本作品は『ばばばあちゃん』シリーズ第一作目。

 

作品を追うごとにパワフルになっていくばばばあちゃんも好きですが、

第一作の猪突猛進型うっかりばばばあちゃんも愛おしい。

 

何故かなと考えたら、この猪突猛進型うっかりさんって

子供あるあるなんじゃないでしょうか。

 

何かやり始めたなと思ったら当初と違うことしてて、

「あれ、〇〇やってたんじゃないの?」と聞くと

「そうだった!」って返ってくる。

 

おもちゃと小机出してきたと思ったら、

おもちゃをソファに置いたまま飛び跳ねてるとか。

 

着替え始めてたのに、

ストリップ歌謡ショー始まっちゃうとか。

 

声かけないとどこまでやるんだろって観察しちゃうときもありますが(笑)

 

大人でもありますよね、

探し物してたはずがすっかり忘れて手ぶらで帰ってくることとか。

(それはただのうっかり)

 

目の前のことに一生懸命になってる姿はとても愛おしい。

たとえ本来の目的からどんどん逸れていったとしても…見てるだけならおもしろい。

見てるだけなら、ね。

 

 

シリーズのほかの作品をいくつか先に読んでいたのですが、

私は『いそがしいよる』がいちばん好きかもしれません。

 

子供向け絵本の主人公がおばあちゃん?なんて思いましたが、

これは愛すべきキャラクター。

 

おばあちゃんだからいいんですね。

 

ふふっと笑って、おおらかな気持ちにさせてもらえます。

 

 

【読み聞かせた年齢】3歳5か月

【選んだ理由】ばばばあちゃんシリーズが好き

【入手方法】図書館で借りた

【うちの子のハマり度】★★★★★

はじめまして

こんにちは、えだまめと申します。

読書が趣味の30代ひきこもり主婦です。

(といっても最近ほとんど自分の読書できてませんが...)

 

 

このブログは、わが子に読み聞かせをした絵本と成長の記録です。

 

絵本を通して、今どんなことに興味があるのかな、

成長するにつれて、同じ絵本でも反応が変わっていくのかな、

そんなことも楽しみにしながら書いていけたらと思います。

 

1歳のころに1記事だけ書き、ブログを放置して丸2年。(オイ

当時の記事を読むと、ストーリーのある絵本はまだまだ興味がなかった様子。

3歳の今では長めのお話も読めるようになっていて、

その成長に驚きです。

そして2年という月日の過ぎる早さよ…

 

わが子が1歳半の頃から図書館に毎週のように通い、

気に入った本は貸出延長しながら月に20冊ほど読み続けてきました。

一年に換算すると、単純計算で240冊。

こう数字に表してみると、すごいもんですね。

 

だからネタはいっぱいあるんです。

あとは書くだけ!

 

 

ゆるゆる続けていくことを目標に。(今度こそ!)

よろしくお願いいたします。

くりかえしのリズムが楽しい『だっぴ!』

ストーリーをまだよく理解できない0歳児にもおすすめ!

くりかえしのリズムが楽しい絵本を紹介します。

 

だっぴ!

だっぴ!

  • 作者:北村直子
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 単行本
 

【読み聞かせた年齢】1歳7か月

【選んだ理由】語感が楽しそう

【入手方法】図書館で借りた

【うちの子のハマり度】★★★★★

 

 

思わずページをめくってみたくなる

タイトルの文字「だっぴ!」と

ビビットな色合いの表紙が目印。

 

「だっぴ!」は「脱皮」のこと。

 

ザリガニやダンゴムシ、、

お散歩や外遊びで出会いそうな

(大人女子がちょっと苦手な)生き物たちが登場。

 

古い皮を脱ぎ脱ぎします。

 

窮屈になった古い皮を脱ぎ捨てた瞬間の

生き物たちのスッキリした表情が、なんとも可愛い。

 

「だっぴ」の書き方にも変化があって、

イラストを合わせてどんな風に読もうか

こちらもワクワクします。

 

うちの子は読んでほしいとき、

「ばっぴ!」と言いながら持ってくるようになりました。

言葉がおもしろくて、すぐ覚えてしまったようです。

 

大人になってダンゴムシやザリガニが苦手になったけど、

この絵本のおかげで(ちょっと)親近感がわきました。

 

オチにもご注目。

ふふっと笑って、脱皮する生き物を身近に感じられるかも?